次男が輪ゴムをいじって遊んでいた。
何かに取り憑かれたかのように輪ゴムで。
令和なのに。
今輪ゴムを強引に取り上げようとしたら、物凄い握力で腕を捻り上げられると思う。
「く…何だこの力は…!お、お前は…誰だ!」
「触れるな汚らわしきニンゲンよ。こやつは偉大なる輪ゴム神の復活に必要な大切な器なのだから」
「器だと!?俺の息子に一体何を!」
みたいな。
みたいな感じになりかねない。
令和なのに。
しばらくその輪ゴムで遊んでいた次男が突然僕の手首に巻きつけて「たいほ!」と言ってきた。
そのまま部屋の隅っこに押し込まれる。
どうやらそこが牢屋らしい。
全く身に覚えがない。
濃い。冤罪が濃い。
「なんで逮捕されたの?」
と聞いた。
「バナナを全部食べちゃったから」
と。
驚いた。
1本も食べてない。
全く身に覚えがない。
僕が多重人格なら確かにあり得るけども。
例えば僕が矢沢永吉みたいだったら。
「俺は食べてないけど、YAZAWAはバナナ食べちゃったかも知れないね」
とか言えるかもしれないけども。
残念ながらずっと意識しっかりしてる。
過去のしくじり全部覚えてて、何なら事あるごとにフラッシュバックして胸をグリグリ圧迫してくる。
僕の中にはYAZAWAはいない。
そしてBANANAも食べていない。